3DCGアニメーション制作の現場で必要なパソコンとは?YAMATOWORKSを支えるサイコムPC

「シン・エヴァンゲリオン劇場版 Blu-ray&DVD新作特典映像 「EVANGELION:3.0(-46h)」」、「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」、
「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」、「モンストアニメ『マサムネ - 使命の赤き刃 -』」など、数々の人気作品に参加する3DCGアニメーション制作会社「YAMATOWORKS」。そのCG制作にはどのようなパソコン・ワークステーションが使用されているのでしょうか。

そこで今回は、同社の代表取締役であり、監督・演出としても活躍する森田修平さんと、CG制作のほかに社内インフラや機材周りを担当するCGディレクター・プロダクションマネージャー・澤田覚史さんに、お話を伺ってみました。

YAMATOWORKSのパソコン環境

「YAMATOWORKSはアニメを作ることに特化している会社で、キャラクターアニメーションを中心に活動しており、理想はオリジナルを作品を作ることです」と話す森田さんは、もともと個人制作で『KAKURENBO』を作り出した後、アニメーションディレクターの坂本隆輔さんと2人でYAMATOWORKSを立ち上げ。現在ではおよそ30~40名が在籍するアニメーションスタジオに育て上げました。

現在、YAMATOWORKSは約60台のパソコンを所有しており、用途に応じて使い分けが行われています
。2020年頃は「アニメーター用」「ディレクター用」「コンポジット用」「レンダリング用」といった感じで、用途に応じたスペックのパソコンが使用されていましたが、2023年現在では「3Dクリエイター用」「コンポジット用」「外部出向者用」「レンダリング用」「その他特殊仕様といった形でスペックを分けているそうです。

株式会社YAMATOWORKS 代表取締役 森田修平さん

YAMATOWORKSでは、CG制作に「Lightwave3D」と呼ばれるソフトウェアを使用しています。このソフトは、あまりGPUを利用せず、CPU依存が高いのが特徴であるほか、アニメ用途では、VFXのようなリアルなレンダリングよりも処理自体も軽いです。
そこで、ネットワークレンダリング用として活用している「レンダリング用PC」は「基本CPUをぶん回せるような高耐久で、省スペースなモデル」が使用されています、と話す澤田さん。
ただし、「最近流行りの『Blender』というソフトは、けっこうGPUを使うので、ビデオカードの有無でスピードが大きく変わってしまう」ため、省スペースでありながらもビデオカードが装着できるPCケースが選ばれているとのことです。


【レンダリング用PC(2023年)】Radiant SDM3200B660
CPU:Core i5-13500
メモリ:DDR4-3200/32GB(16GB×2)
ストレージ:NVMe SSD/1TB
ビデオカード:必要に応じて
電源容量:500W

また、ルックデヴ(3DCGの見た目を決める工程)にも使用される「コンポジット用」では、「AfterEffects」と呼ばれるソフトが使用されます。「CG制作は、レンダリングのように時間を掛けても良い処理とリアルタイム系の処理がある」と話す森田さん。

【コンポジット用PC(2023年)】Lepton WS3500Z790-A/D5
CPU:Core i9-13900KF
メモリ:DDR5-4800/64GB(32GB×2)
ストレージ:NVMe SSD/1TB+2TB
ビデオカード:GeForce RTX 4060Ti 8GB
電源容量:650W

CGディレクター・プロダクションマネージャー 澤田覚史さん

2020年頃と2023年現在で用途の区分に変化が起きているのは、「メモリとビデオカードの影響」と話す澤田さん。CGはかなりメモリ容量を必要とする作業が多いため、かつては32GBが標準だったところ、メモリの価格低下もあって、多くのパソコンで64GB以上を搭載するようになったほか、「Blender」のようにGPUを使うソフトが増えてきたことによって、「アニメーター用」と「ディレクター用」のスペック差がほとんどなくなってしまい、現在では「3Dクリエイター用」として一本化されつつあると言います。
さらに、「3Dクリエイター用」をスペックアップしたマシンを「コンポジット用」として使っています。特に「AfterEffects」の場合、プレビュー処理の速さが重要ですので、「コンポジット用」にはCPUのスペックを高くしたり、メモリを多めに搭載したり、キャッシュ用のSSDを搭載して環境を工夫しています。CPUには「Intel Core i9」、ビデオカードには「GeForce RTX 4060Ti」を採用しています。

【3Dクリエイター用PC(2023年)】Lepton WS3500Z790-A/D5
CPU:Core i7-13700K
メモリ:DDR5-4800/64GB(32GB×2)
ストレージ:NVMe SSD/1TB
ビデオカード:GeForce RTX 3060Ti 8GB
電源容量:650W

一方、「外部出向者用」のモデルは、演出や2Dアーティスト、美術、デザイナーの方向けに用意されているもので、基本的に2D処理がメインとなるため、あまり高い性能を必要としないこともあって、スペック的にはやや低め。コロナ禍の際にはリモートワーク用の貸出パソコンとしても利用されたそうです。

なお、YAMATOWORKでは、コロナをきっかけにリモートワークを取り入れたそうですが、
「映像制作は本当に集団作業なので、実際に集まって作らないとすごく効率が悪くなった」と振り返る森田さん。
そのため、コロナも収まった今では、基本的に出社ベースで作業が行われているそうですが、体調面などの様々な事情によってリモートワークを選択する方には、持ち運びやすい「外部出向者用」のパソコンが貸し出されています。

【外部出向者用PC(2023年)】Radiant VX3100B660/D4
CPU:Core i5-13400F
メモリ:DDR4-3200/32GB(16GB×2)
ストレージ:NVMe SSD/1TB
ビデオカード:GeForce GTX 1650 4GB
電源容量:550W

また、「その他特殊仕様」と呼ばれるパソコンは、「Houdini」と呼ばれる3DCG制作ソフト用に使用されるもので、CPUにはワークステーション向け「AMD Ryzen Threadripper 3970X」が採用されています。
「『LightWave 3D』や『AfterEffects』は、あまりマルチスレッドを有効に活用しきれないところがあったのですが、『Houdini』はちゃんと使ってくれる」という澤田さん。
そこで、32コア/64スレッドの「AMD Ryzen Threadripper 3970X」に白羽の矢が立ったとのことですが、逆にこのスペックで意味があるのが『Houdini』しかないこともあって、『Houdini』を使うスタッフの効率アップを狙って導入したとのことです。
『Houdini』を使ったシミュレーション作業ではメモリ容量も64GBでは足らず、現在では128GBへと増設されています。
そのほか、「ZBrush」と呼ばれるモデリングソフトの場合、CPU依存度が強いため、CPUに「Intel Core i9 13900KF」を採用しています。

「『Houdini』や『ZBrush』を使うスタッフは本当にスペシャルなスタッフなので、そのスタッフ向けにチューニングしたモデルを提供している」という澤田さんに、
「入社時期とかベテランとか、そういった基準ではなく、あくまでもスタッフの特性やソフトに合ったパソコンを使ってもらっています」と森田さんも同意する。
「そう考えると、(森田)社長のパソコンが一番スペックが低いかもしれません(笑)」(澤田さん)。


【特殊仕様(「Houdini」用)(2023年)】Lepton WS3800TRX40A
CPU:Ryzen Threadripper 3970X
メモリ:DDR4-3200/128GB(32GB×4)
ストレージ:NVMe SSD/1TB+2TB
ビデオカード:GeForce GTX 2060 Super
電源容量:1000W
【特殊仕様(「ZBrush」用)】Lepton WS3500Z790-A/D5
CPU:Core i9-13900KF
メモリ:DDR5-4800/64GB(32GB×2)
ストレージ:NVMe SSD/1TB+2TB
ビデオカード:GeForce RTX 4060 8GB
電源容量:650W

このように、CGアニメーションを作る上での作業・用途に合わせて、様々なパソコンを使い分けているYAMATOWORKSですが、そのパソコンはすべてBTOメーカー・サイコムが手掛けたモデルとなっています。
「会社を立ち上げて、まだ小さい組織の頃は、どうしても安くてコンパクトなパソコンを選びがちですが、それがあまり良い経験ではなかった」という森田さん。
パソコンを選ぶもっとも重要な基準は「安定性」であり、サイコムのパソコンを導入してから、格段と安定性が高まったと振り返ります。

「夏になってパソコンが熱暴走しまくったときに、スタッフの一人が『サイコムさんのパソコンがすごく良い』と言い出したのがきっかけ。立ち上げた当初はやはりできるだけコストを下げたいじゃないですか。でも、それ以上に熱暴走は困る。多少お金がかかっても、ちゃんとしたパソコンを用意しなければならないということで、サイコムさんにお願いしてみたのですが、これが本当に壊れなくて(笑)」
と導入当時を思い出す森田さん。
「これはよく話すのですが、だいたい年に一度くらい、パソコンの掃除をするじゃないですか。だいたいのパソコンは、ケースを開けたらホコリだらけなのですが、サイコムさんのパソコンはすごくキレイ。それを見て、もうずっとここにしようと思いました」と手放しで絶賛します。


レンダリングをし続けるサイコムPC

「やはり、私達にとっては、壊れない、不具合が起きないというのが第一条件。安定した性能を出し続けられることが重要です。基本的に、日中はずっとパソコンで作業している状態なので、おそらく一般の方よりもかなりハードな使い方になっていると思います。それでも、安定して動作し、落ちない、遅くならない、固まらないことが大事なんです」という澤田さん。
「パソコンが落ちたり、固まったりすると、作り手のテンションが一気に下がるんですよ。特に集中して作業しているときは、保存とかも忘れがちになってしまう。そんな時にパソコンが落ちたら……もう仕事をする気もなくなってしまう。だからこそ、安定性が何よりも重要になります」と森田さんも続けます。

安定性を重視するYAMATOWORKSでは、水冷システムもいち早く導入。
「それはやはり熱暴走のせいです。明日納品だというのに熱暴走で作業ができないというのが一番辛い。当時それが連チャンで起こったのがトラウマになって、性能重視のパソコンにはできるだけ水冷を導入するようにしています」


YAMATOWORKSがサイコムのパソコンを導入したのは、2013~2014年頃で、およそ10年の付き合いになっていますが、
「本当にサイコムさんのパソコンは長持ちします」と太鼓判を押す森田さん。「以前使っていたパソコンが壊れないから、それが貸出し用に回っているというのもあります」と笑顔を見せます。
一方、「基本的に何も問題はないのですが、何かあった時、ちょっとした相談事でも、すぐに対応していただけるのがありがたいところです」と感謝を示す澤田さんは、「コミュニケーションを絶やさず、ちゃんと親身になって話を聞いていただけているからこそ、10年間も付き合ってこられたのだと思います」と振り返りながら、
「サイコムさんの特徴はパーツをいろいろ選べるところだと思うので、パーツによる性能差が見える化されると良いなと思っています。経験値のある自分でもよくわからないところがあるので、初心者の方は本当にわからないと思います。そのあたりがクリアになるとうれしいですね」と最後に要望も加えてくれました。



YAMATOWORKSの最新の制作アニメ

モンストアニメ『マサムネ - 使命の赤き刃 -』前編
https://www.youtube.com/watch?v=2Rzc8cgxLPQ

モンストアニメ『マサムネ - 使命の赤き刃 -』後編
https://www.youtube.com/watch?v=9DrrtbX2Wyw



【YAMATOWORKSよりお知らせ】

YAMATOWORKSでは現在

制作進行
3DCGスタッフ(3Dアニメーター、ルック・デヴ・アーティスト)

を募集しております。

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BTOパソコン売れ筋ランキング

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    3位Silent-Master NEO B650A
    こだわりのNoctua製空冷CPUクーラーを採用し、エアーフローと静音性のバランスを極めた静音PC。AMD Ryzenプロセッサを搭載するATXミドルタワー型モデル。
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    インテル® Core™ プロセッサとDDR5メモリを搭載するATXミドルタワー型モデル。BTOならではのカスタマイズの幅が広いスタンダードなモデルです。
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    DDR5メモリとインテル® Core™ プロセッサを採用するミドルタワー型ゲーミングPC。
    高性能と高拡張性を実現したゲーマー向けハイエンドモデルです。
  • 9位Aqua-Master X870A
    CPUの冷却機構に水冷方式を採用し冷却能力を向上させた、AMD Ryzen 9000シリーズ搭載ミドルタワー型PC。
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