プロの映像編集者が監修した「Lepton Motion Pro」 - サンゼこと和田光司さんのパソコンへのこだわりとは?

パソコンを使った映像編集というと、一昔前はハイスペックなパソコン、高価なソフトが必要でしたが、現在ではパソコンの性能も上がり、ソフトの値段も下がっているので、比較的チャレンジしやすい環境が整いつつあります。

BTOメーカー・サイコムといえばゲーミングPCでおなじみですが、そのラインナップの中で、プロフェッショナル向けに位置づけられる「Lepton Motion Pro」は映像編集に特化したパソコンで、すでに映像編集を手掛けている人も、これから映像編集にチャレンジしたいと思っている人にもおすすめの一台となっています。

そんな「Lepton Motion Pro」の開発にあたって、プロジェクトの立ち上げから関わり、監修を行っているのが、自身もプロの映像編集者として活躍する株式会社リヒトグラフの和田光司さんです。

和田さんはテレビCMをメインとした映像編集を本業とするかたわら、「サンゼ」名義でインフルエンサー活動を行っており、自身のYouTubeチャンネル「サンゼのAfter Effects教室」にて、「Adobe After Effects」を中心とした映像制作のノウハウを惜しげもなく披露しています。

そこで今回は、和田さんのお仕事からサイコムとの出会い、パソコンへのこだわりなど、いろいろなお話を伺ってみました。

映像編集者からインフルエンサー活動まで

和田さんの本業は広告などの映像編集。いわゆる「オフライン編集」と呼ばれるセクションに携わっています。日本のCM業界の場合、編集は「オフライン編集」と「オンライン編集」の二段階に分かれていて、「オフライン編集」は素材を吟味して、構成を立てていく工程、VFXやCGを合成する工程が「オンライン編集」と呼ばれます。

「オフライン編集」は、様々なアイデアが試される工程という和田さん。その大きな特徴は、基本的に対面で行われることで、代理店や制作会社、さらには撮影現場にも、パソコン片手に足を運ぶことがあると言います。

「CMの場合、15秒とか30秒といった枠がきっちり決まっているので、どんなに良い映像が撮れても、尺に収まらないと意味がありません。クライアントさんによっては、言わせたいセリフがたくさんあったりするので、それがちゃんと尺に入り切るのかを現場で検証する必要があります。また、監督さんから、演技は良いんだけどOK?みたいに任されることもあったり。そのあたりの判断を即断即決でしなければならないのが大変なところ。前半を削れば入るかもとか、これ以上は頑張っても無理そうだとか、現場の空気を読みながら判断することもあります」

和田さんが映像編集に関わったのは専門学校を卒業して、制作会社に入ってから。
「少しお休みしている期間もありますが、かれこれ15、6年は映像編集という作業に携わっています」という和田さんだが、5年ほど前からは、インフルエンサー活動も開始。オレンジのパーカーを着て、“サンゼ”というキャラクターになって、YouTubeで「After Effects」のハウツーやテクニックを教える動画を発信しています。

実のところ、「After Effects」が活用される作業は、いわゆる「オンライン編集」の工程で、和田さんが行うオフライン編集は「Adobe Premiere Pro」が使用されます。

「そこが僕のちょっと変わったところで、両方が使えるタイプなんですよ。オフライン編集で求められるのは、映像のつなぎなんですけど、それだけでは済まないことが実は多かったりします。実際にCGなどを載せた仮合成のような映像を求められることが増えてきているのですが、昔ながらの編集マンは、合成なんかやらないという職人の方が多い。ただ、僕くらいの世代になると、ニーズがあるならやりましょうと、割り切って作業する人が増えています。実際、CGがどのように動くかも尺に影響しますから、できるならやってしまったほうが良いんですよ」

そして実際、昔ながらのテレビCMのようなカッチリと決まった仕事だけでなく、WEB広告のように、オフライン、オンラインの区別なく、仕上げまで一人でやり切るパターンが増えており、サンゼとして「After Effects」の情報を発信しているのは、オフライン編集者でありながら、オンライン編集もできるところをアピールする意味が大きいという和田さんですが、その他にも現実的なところとして、YouTubeのコンテンツには「After Effects」が適していることもひとつの理由になっているそうです。

「『After Effects』はカットベースなので、一枚の作例で完結できるのですが、『Premiere Pro』を使った編集作業になると、話すことも膨大だし、時間もめちゃくちゃ掛かってしまうので、YouTubeというショートな文化には合わないんです。なので、本業はあくまでも『Premiere Pro』ですが、『After Effects』を扱ったほうが、仕事的にも、配信的にもメリットが大きいという理由があったりもします」

和田さんが専門学校を出て、制作会社に入った当時、日本のCM制作の現場では、基本的に編集には「Avid」、合成には「Flame」と呼ばれるソフトが基本的に使用されており、「Premiere Pro」と「After Effects」はノータッチでしたが、その後、一度会社を辞めて、地元に戻った際に、あらためて独学でマスターしたとのことです。

「会社を辞めて、まったく別の仕事をしていたのですが、離れると懐かしくなってくるじゃないですか。その頃、Adobeさんのソフトも安くなってきていたので、自分で購入して、海外のチュートリアル動画を見漁って、勉強しました。当時は日本語の解説動画なんかなかったので、けっこう大変でしたね(笑)」

およそ2年ほど、実家の仕事を手伝いながら、趣味で「Premiere Pro」と「After Effects」を学んでいた和田さんですが、友人からの東京に戻ってこないかという誘いを受けて、再び編集の世界へと戻ってきました。

「一度離れた期間に学んだものが今のバックボーンになっているのと同時に、自分が勉強するために観ていた動画の発信者に対する感謝の気持ちがあります。だから、少しずつ仕事をして、ちゃんとご飯が食べられるようになったら、それを他の人にも返したかった。それが今の活動に繋がっています。こういうことをいうと、偽善だとか嘘だとか言われるんですけど、本当にそう思っています」

和田さんのパソコンへのこだわり

社会人になってから、ほとんどの期間を映像編集者として過ごしてきた和田さんですが、パソコンに対してこだわりを持ち出したのは、「リヒトグラフ」として法人化してからだと言います。

「その当時、編集の世界はMacが中心で、周りの人もみんなMacを使っていたので、互換性の意味でもMacを使うのが当たり前という環境でした。しかし、法人化した際に、編集だけでなく、CGやアニメーション寄りのこともやっていきたいという気持ちがありました。そうなると、Macだとカスタマイズできる範囲があまりなかったりするので、Windows機を使ってみようと。そして、いろいろと調べた結果、サイコムさんのBTOパソコンを購入することになりました」

サイコムとの偶然の出会いを振り返る和田さんですが、そのときにサイコムのパソコンに注目した理由については、次のように語ります。

「いろいろなメーカーを調べたのですが、まず感じたのが“こだわり”ですね。裏配線をしっかりとやっているあたりはすごくシンパシーを感じました。普段、人の目に触れないところにもこだわっている姿勢はすばらしいなと。クリエイターによっては、人から見えるところだけ頑張るような、パフォーマンスのうまい人もたくさんいます。そういう人が売れたりもするんですけど(笑)、たとえ見られていなくても、やることはちゃんとやるというスタンスが自分は好きなので、その姿勢がサイコムさんのパソコンからは感じられました」

当時、和田さんが購入したのは、サイコムからリリースされて大きな話題を呼んだオーバークロックモデル「G-Master Spear Z390-Taichi OC」。選んだ決め手は動作クロックだったそうです。

「当時、Adobeのソフトはマルチコアがあまり使えず、動作クロックのパワーで押し切る感じだったので、クロックが高ければ高いほうが良かった。当時は社員もいたので、一気に三台購入しました(笑)」

G-Master Spear Z390-Taichi OC
G-Master Spear Z390-Taichi OC ※現在は販売終了しています。
「G-Master Spear Z390-Taichi OC」は、2019年2月28日に販売開始されたASRockとサイコムのコラボレーションモデルで、ASRock製マザーボードの製品開発に携わる伝説のオーバークロッカーであるNick Shih氏が専用のカスタムBIOSチューニングを施したゲーミングPC。
Intel Core i9-9900Kの全8コアを高負荷時に標準の4.7GHzから5.0GHzへとオーバークロックし、CPUの性能を向上させているのが最大の特徴となっています。

「Lepton Motion Pro」を監修

その後、インフルエンサーとして活動していく中で、「どこかのメーカーとコラボがしたい」と考えた和田さんですが、パソコンを購入した縁もあって、サイコムとのコラボが実現。そして、「Lepton Motion Pro」の開発へと繋がっていきます。

サイコムの動画編集に特化したパソコンを作りたいという相談を受けてスタートした「Lepton Motion Pro」のプロジェクト。監修するにあたって、和田さんが最初に重視したのは「見た目」だったと言います。

「形から入るのが良いかどうかは別にして、パソコンに限らず、使用する機材がカッコいいとテンションが上がるじゃないですか。スペックとか安定性とか、静音性にこだわるのは当然のことで、それ以前に、まずは見た目がカッコいいことが大事だなと。車だって、カッコいいと乗りたくなるし、それが習慣化していくわけですよ。モチベーションはお金ではなかなか買えない部分なので、まずは見た目を重視させていただきました。ケースもそうですが、できるだけ黒いパーツを使いましょうって(笑)」

サイコムの堅牢性、安定性については、実際に使っている経験からも心配していなかったという和田さん。スペックについては、Adobeの要件をクリアしたうえで、実際に自らテストを行って検証し、自信を持って送り出した逸品だと和田さんは胸を張ります。

「正直、『Lepton Motion Pro』は少し高いかもしれません。でも、それで良いと僕は思っています。一見、安く見えても、実際はオプションをつけないと使えないようなパソコンにはしたくなかった。実際にテストを行ってもまったくトラブルはなかったので、性能的には自信があります。あと、サイコムさんはサポートがしっかりしているのも大きいですね。自分もかつてパーツの不具合で相談したことがあったのですが、その際の印象がすごく良かった。パソコンの世界は基本的に自己責任になりがちですが、ちゃんと相談できる体制が整っているの大きな安心材料になると思います」

実際に映像編集を行っている人からの評判も高い「Lepton Motion Pro」ですが、第二弾、第三弾について和田さんに構想はあるのでしょうか。

「スペック面については、今後も上がっていくと思いますが、方向性としては今のモデルで十分だと思っています。あえて、次を作るとすると、もっと小型化したいかなと思っています。もっとカジュアルで、もっとおしゃれなものが作れたら良いなと思っています」

映像編集用のパソコンを購入する際に、頭を悩ませるのがパーツ選び。本職の映像編集マンとして、和田さんが重視するパーツについて教えてもらいました。

「CPUとビデオカードとメモリは三つ巴で、どれも重要なのですが、ソフトウェアによって変わってくるところでもあります。以前はCPUのパワーでぶん殴るようなソフトが多かったのですが、最近はビデオカードを活かすソフトが増えているので、今ならビデオカードを重視します。メモリに関しては、大容量に越したことはありませんが、そこまで無理する必要はないかもしれません」

さらに、今後注目すべき動画関連ソフトとしては、「DaVinci Resolve」と「Blender」を挙げてくれました。

「今注目しておきたいのは『DaVinci Resolve』と『Blender』ですね。ソフトとしての出来は明らかにすばらしいと思います。ただ、現時点ではAdobeのシェアが高いので、主流になるとしても5年後くらいかな。もちろん使う人が増えれば、その期間はもっと短くなります。ソフトが使えないと編集者としては終わってしまうんですよ。基本的にやること自体は変わらないのですが、設計思想が違うとまったくの別物ですから。だから先程の話だと、これらのソフトにフォーカスしていくパソコンが第二弾、第三弾になるかもしれません。その場合はビデオカードが重要になってきますが、やはりその前に、小さめでおしゃれなパソコンにしたいですね(笑)」

映像編集者として、配信者として活躍する和田さんですが、今後やってみたいことについて伺うと、「割りとやりきった感があるので、次どうしようかと模索中です」と苦笑いを浮かべながら、次のように語ってくれました。

「映像は楽しいのですが、唯一の欠点は手に持てないことです。触れるもの、実体のあるものに対する憧れがずっとあったので、『Lepton Motion Pro』に関われたのは本当に嬉しかったです。あと書籍も出せたので、本当に思い残すことがないんですけど(笑)、もともと演出がやりたかったこともあって、いつかは映画を作ってみたいという思いはあります。大掛かりなものではなく、一人でできるレベルのものですが、今の時代なら、それも決して不可能じゃないと思っています」

クリエイター向けPC「Lepton」シリーズ

Lepton Motion Pro Z790/D5

映像編集に特化したミドルタワー型PC Lepton Motion Pro Z790/D5

BTOメーカー・サイコムの「Lepton Motion Pro Z790/D5」は映像編集に特化したパソコンです。
CPUに最大5.6GHz、20コア/28スレッドのIntel Core i7-14700K、ビデオカードにVRAM8GBのNVIDIAの GeForce RTX 4060を標準で搭載し、メモリもDDR5-4800を32GB(16GB×2)と「Davinci Resolve」を使うには、必要十分な構成となっています。

4Kを超えるような映像編集を目指すのであれば、CPUやビデオカードをカスタマイズすることで、さらなるパワーアップすることもできます。

スタイリッシュでエアフローに優れたFractal Design製のPCケースや圧倒的な冷却&静音性を発揮するNoctua製のCPUクーラーも注目ポイント。快適な動画編集を約束する1台に仕上がっています。

「Lepton Motion Pro Z790/D5」の標準構成
CPU:Core i7-14700K
マザーボード:ASRock Z790 Pro RS
メモリ:32GB[16GB*2枚]DDR5-4800 Dual Channel
SSD:Crucial T500 CT1000T500SSD8 [M.2 PCI-E GEN4 SSD 1TB]
ビデオカード:GeForce RTX4060 8GB ASUS製DUAL-RTX4060-8G
OS:Windows 11 Home
外形寸法:幅222×奥450×高さ467mm

「Lepton Motion Pro Z790/D5」製品ページ

Lepton Hydro WSZ790

NVIDIA GeForce RTX 4080 SUPERとAMD Ryzen THREADRIPPER 7000 シリーズプロセッサ搭載のウルトラハイエンドワークステーションLepton Hydro WSZ790

BTOメーカー・サイコムのフラグシップモデルとなるデュアル水冷の「Hydro」が、プロフェッショナル向けの「Lepton」シリーズにもラインナップ。「Lepton Hydro WSZ790」は、標準構成で、20コア28スレッドのIntel Core i7-14700KとNVIDIA GeForce RTX 4080 SUPER搭載ビデオカードの組み合わせを採用し、マザーボードには堅牢性の高い「ASRock Z790 Steel Legend WiFi」を搭載。さらに、DDR5-4800メモリを64GB搭載するなど、まさにウルトラハイエンドなワークステーションとなっています。

ビデオカードは、ASETEK製の水冷ユニットをサイコム独自の工夫で組み込んでおり、従来の空冷ファンと比べても格段の冷却性能と静音性を実現。CPUの冷却には、同じくASETEK製の最新世代高性能水冷ユニットを採用しています。そして、Antec製PCケース「P20CE」にサイコム独自でNctua製ファンを前面と背面に搭載することによって、さらに冷却性能をアップ。電源ユニットはAntec製の850W電源を搭載しています。

CPUとビデオカードの冷却に水冷システムを採用する「デュアル水冷」の高い冷却性能により長期運用での安定したパフォーマンスを発揮する「Lepton Hydro WSZ790」は、AI、デジタルクリエイションなど負荷の高い作業において、ハードウェアのパフォーマンスを極限まで引き出す一台として注目のモデルとなっています。

「Lepton Hydro WSZ7905」の標準構成
CPU:Core i7-14700K
マザーボード:ASRock Z790 Steel Legend WiFi[Intel Z790chipset]
メモリ:64GB[32GB*2枚]DDR5-4800 Dual Channel
SSD:Crucial T500 CT1000T500SSD8[PCI-E GEN5 SSD 1TB]
ビデオカード:NVIDIA GeForce RTX4080 SUPER 16GB
OS:Windows 11 PRO(64bit)
外形寸法:幅220×奥行き469×高さ490mm

Lepton Hydro WSZ790製品ページ

(10月1日~10月31日)

  • 1位
    1位G-Master Spear X870A
    Zen5アーキテクチャ採用のAMD Ryzen 9000シリーズを搭載するミドルタワー型ゲーミングPC。高性能と高拡張性を実現したゲーマー向けハイエンドモデルです。
  • 2位
    2位Radiant GZ3600X870A
    Zen5アーキテクチャ採用のAMD Ryzen 9000シリーズ搭載ATXミドルタワー型モデル。BTOならではのカスタマイズの幅が広いスタンダードなモデルです。
  • 3位
    3位Silent-Master NEO B650A
    こだわりのNoctua製空冷CPUクーラーを採用し、エアーフローと静音性のバランスを極めた静音PC。AMD Ryzenプロセッサを搭載するATXミドルタワー型モデル。
  • 4位Radiant GZ3500Z790/D5
    インテル® Core™ プロセッサとDDR5メモリを搭載するATXミドルタワー型モデル。BTOならではのカスタマイズの幅が広いスタンダードなモデルです。
  • 5位G-Master Velox II Intel Edition
    高品質なパーツを採用した納得の標準構成と厳選されたオプションパーツでシンプルなカスタマイズが楽しめる新機軸のゲーミングPC!
    定番のインテル® Core™ プロセッサ搭載モデルです。
  • 6位Radiant VX3100B660/D4
    インテル®Core™ プロセッサ(第14世代)採用のMicroATXミニタワー型モデル。ミドルタワー型PCは大きくて置けない、でも高性能なパソコンが欲しい!とお悩みの貴方にオススメ!
  • 7位G-Master Hydro X870A Extreme
    Zen5アーキテクチャ採用のAMD Ryzen 9000シリーズを360mm大型ラジエーター搭載水冷ユニットで強力に冷却。更にサイコム独自に水冷化したNVIDIA製高性能GPUを組み合わせたデュアル水冷PC!
  • 8位G-Master Spear Z790/D5
    DDR5メモリとインテル® Core™ プロセッサを採用するミドルタワー型ゲーミングPC。
    高性能と高拡張性を実現したゲーマー向けハイエンドモデルです。
  • 9位Aqua-Master X870A
    CPUの冷却機構に水冷方式を採用し冷却能力を向上させた、AMD Ryzen 9000シリーズ搭載ミドルタワー型PC。
  • 10位Premium-Line X870FD-A
    いいものを、永く。標準2年保証、無償オーバーホールなど末永くご愛用いただくためのアフターサービスも充実したサイコムが提案する新たなPCのカタチ。その名は、Premium Line