AMDからリリースされた最新デスクトップ向けAPU「Ryzen 8000G」シリーズは、高性能な内蔵グラフィック機能が最大の魅力です。
大幅に向上したグラフィック性能によって、エントリー向けビデオカードを搭載したパソコンと同等の性能を発揮。ビデオカードなしで、最新ゲームを楽しめるパフォーマンスを秘めています。
そこで今回は、注目のAPU「Ryzen 8000G」シリーズの概要やラインナップをはじめ、その性能や魅力、搭載パソコンについて紹介していきます。
目次
1.AMD「Ryzen 8000G」シリーズ登場
AMDから新たにリリースされた「Ryzen 8000G」シリーズは、デスクトップ向けAPUの新ラインナップです。
APU(Accelerated Processing Unit)とは、CPUとGPUを統合したプロセッサーのことで、AMD製のグラフィック機能を内蔵したCPUに使用されます。
AMD「Ryzen 8000G」シリーズは、デスクトップ向けとしては2022年9月に登場した「Ryzen 7000」シリーズの後継となりますが、APUとしては2021年8月に登場した「Ryzen 5000G」シリーズ以来となります。
「Ryzen 7000」シリーズもグラフィック機能を内蔵したCPUですがAPUとは呼ばれておらず、「Ryzen 8000G」シリーズを改めてAPUとしてリリースするところから、内蔵グラフィック機能の向上が期待できます。
現在、「Ryzen 7 8700G」「Ryzen 5 8600G」「Ryzen 5 8500G」「Ryzen 3 8300G」の4モデルがラインナップされていますが、「Ryzen 3 8300G」はメーカー製PC向けの製品のため、パソコンショップなどの店頭で購入できるのは3モデルとなります。
2.AMD「Ryzen 8000G」シリーズの仕様・特徴
2-1.CPUコアに「Zen 4」アーキテクチャを採用
「Ryzen 8000G」シリーズは、「Ryzen 7000」シリーズで採用された「Zen 4」アーキテクチャを採用。ソケット形状も「Ryzen 7000」シリーズと同じLGAタイプの「Socket AM5」を採用しており、BIOS更新は必要となりますが、同じマザーボードで使用することができます。
同じ「Zen 4」アーキテクチャでも、「Ryzen 7000」シリーズの製造プロセスが「TSMC 5nm FinFET」だったのに対し、「Ryzen 8000G」シリーズは「TSMC 4nm FinFET」と微細化が進んでいる点も特徴で、いずれのモデルもTDP65Wとなっています。
なお、下位モデルとなる「Ryzen 5 8500G」は、「Zen 4」+「Zen 4c」という構成になっています。「Zen 4」と「Zen 4c」は基本的に同じコアですが、「Zen 4」が高クロックでの動作に最適化されているのに対し、「Zen 4c」は低消費電力での動作に最適化されていおり、「Ryzen 5 8500G」は性能面よりも効率面を優先した構成と言えそうです。
2-2.内蔵GPUは「RDNA 3」アーキテクチャ
「Ryzen 8000G」シリーズ最大の魅力は、内蔵グラフィックの性能です。「Ryzen 7000」シリーズの「RDNA 2」から、モバイル向けAPU「Ryzen 7040」や「Ryzen 8040」シリーズで採用された「RDNA 3」にグレードアップ。
「Ryzen 7 8700G」には「Radeon 780M」、「Radeon 5 8600G」には「Radeon 760M」、「Radeon 5 8500G」には「Radeon 740M」といった「RDNA 3」アーキテクチャのGPUが統合されています。
「Ryzen 7000」シリーズに統合された「RDNA 2」コアの「Radeon Graphics」は、動作クロック2,200MHzでコア数2となっており、かなり抑えた性能となっていましたが、「Ryzen 8000G」シリーズの最上位モデル「Ryzen 7 8700G」に搭載されている「Radeon 780M」は動作クロック2,900MHzで12コアと大きく増強。
エントリー向けビデオカードに匹敵する性能と言われており、ゲームタイトルや設定にもよりますが、フルHD/60fpsでもプレイできるパフォーマンスを秘めています。
なお、「Ryzen 7000」シリーズと同じ環境で使用できるので、別途ビデオカードを追加することで、グラフィック機能を強化することも可能ですが、「Ryzen 8000G」シリーズのPCI Expressは4.0までの対応であり、レーン数も少ないという制約があるため、ビデオカードの性能を最大限に引き出すことができないという点は注意が必要です。
2-3.AI処理性能を向上する「Ryzen AI」をサポート
「Ryzen 8000G」シリーズのもうひとつの魅力は「Ryzen AI」をサポートし、「XDNA」アーキテクチャを採用したNPUを搭載していることです。NPU(Neural Processing Unit)は、AI処理に特化したプロセッサーで、モバイル向けの「Ryzen 7040」シリーズから搭載されており、「Ryzen 8000G」シリーズはデスクトップ向けでは初となっています。
Windows 11に搭載されている「Windows Studio Effecs」をはじめ、現時点で100を超える機能やソフトをサポートするという「Ryzen AI」ですが、AIに対する需要は今後ますます増大していきますので、その有用性は非常に高いと言えます。
なお、「Ryzen AI」をサポートしているのは「Ryzen 7 8700G」および「Ryzen 5 8600G」の上位モデルのみで、「Ryzen 5 8500G」では利用することができません。
3.サイコムのAMD「Ryzen 8000G」シリーズ搭載パソコン
3-1.「Radiant GZ3500B650AG」
標準構成で「AMD Ryzen 5 8600G」を搭載したミドルタワー型パソコン。BTOメーカー・サイコムのスタンダードモデルで、マザーボードにAMD B650チップセットを搭載した「ASRock B650 Pro RS」を採用し、メモリは16GB(8GB×2)、ストレージは500GBのSSDを搭載します。
シンプルな構成ですが、Fractal Design製のスタイリッシュなサイコムオリジナルPCケース、静音性&冷却性能の高さが魅力のNoctua製CPUクーラーなど、サイコムのならでのこだわりも詰まったパソコンに仕上がっています。
ビデオカードをカスタマイズで追加することもできますが、基本的には「AMD Ryzen 5 8600G」のパワフルな内蔵グラフィックを楽しみたいモデルとなっています。カスタマイズにて「AMD Ryzen 7 8700G」も選択可能です。
「Radiant GZ3500B650AG」の標準構成 |
CPU:AMD Ryzen(Phoenix)各種 マザーボード:AMD B650チップセット メモリ:DDR5-4800 16GB(8GB x2) SSD:SSD 500GB ビデオカード:Radeon 内蔵グラフィック OS: Windows10 Home(64bit) 外形寸法: 幅195×奥行き450×高さ442mm |
3-2.「Radiant VX3500B650AG」
標準構成で「AMD Ryzen 5 8600G」を搭載したコンパクトなミニタワー型パソコン。基本的な構成は「Radiant GZ3500B650AG」と同じ。AMD B650チップセットを搭載したマイクロATXマザーボード「ASRock B650 Pro RS」を採用しているほかは、メモリは16GB(8GB×2)、ストレージは500GBのSSDを搭載しています。
AMD純正のCPUクーラーとスタイリッシュなFractal Design製のスタイリッシュなサイコムオリジナルPCケースの組み合わせで、「Radiant GZ3500B650AG」と同様、「AMD Ryzen 5 8600G」のパワフルな内蔵グラフィックを利用するのが標準の構成となっています。こちらも「AMD Ryzen 7 8700G」の選択も可能です。
「Radiant VX3500B650AG」の標準構成 |
CPU:AMD Ryzen(Phoenix)各種 マザーボード:ASRock B650M Pro RS Mini メモリ: DDR5-4800 16GB(8GB x2) SSD:SSD 500GB ビデオカード:Radeon 内蔵グラフィック OS:Windows 10 Home(64bit) 外形寸法:幅195×奥行き450×高さ380mm |
4.まとめ
本記事ではAMDの最新APU「Ryzen 8000G」シリーズのラインナップや仕様・特徴について紹介しました。
「Ryzen 8000G」シリーズは、高性能な内蔵グラフィックによってビデオカードなしでも最新ゲームを楽しめる可能性を秘めており、パソコンのコストダウンや省電力化、省スペース化も期待できます。また、「Ryzen AI」によるAI機能の処理性能アップも注目のポイントになります。
これからパソコンの購入を考えている方は、CPU選びのひとつの選択してとして「Ryzen 8000G」シリーズも検討してみてください。
父親の影響で、中学生からパソコンの自作を始める。秋葉原のPCショップでアルバイトをしながら学生生活を過ごし、現在は通信会社の子会社でシステムエンジニアとして勤務。週末は副業でPCやデジタルガジェット系のライターをしながら、今もアキバ通いを続けてます。BTOパソコンは奥が深いです、単に道具として使うだけではなくパーツ選びも楽しみましょう!
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- 8位G-Master Spear Z790/D5
- DDR5メモリとインテル® Core™ プロセッサを採用するミドルタワー型ゲーミングPC。
高性能と高拡張性を実現したゲーマー向けハイエンドモデルです。
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- 9位Aqua-Master X870A
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