2024年1月にNVIDIAから登場した「GeForce RTX 40 SUPER」シリーズは、「GeForce RTX 40」シリーズの追加ラインナップとして大きな注目を集めています。
既存ラインナップをパワーアップしつつ、価格設定が抑えられているなど、ビデオカード選びの新たな選択肢として、ゲーミングPCはもちろん、クリエイターやデータ解析用のパソコンなど様々なニーズに合わせることができます。
本記事では、「GeForce RTX 40 SUPER」シリーズの特徴と魅力を解説しつつ、搭載可能なBTOパソコンを紹介しますので、ぜひパソコン選びの参考にしてみてください。
目次
1.「GeForce RTX 40 SUPER」シリーズの注目ポイント
1-1.「GeForce RTX 40 SUPER」シリーズのラインナップ
2024年1月にNVIDIAから登場した「GeForce RTX 40 SUPER」シリーズは、「GeForce RTX 40」シリーズの追加ラインナップで、「GeForce RTX 4070 SUPER」「GeForce RTX 4070 Ti SUPER」「GeForce RTX 4080 SUPER」の3製品がリリースされています。
これまで、「GeForce RTX 40」シリーズには、「GeForce RTX 4060」から「GeForce RTX 4090」まで6製品がラインナップされていましたが、「GeForce RTX 40 SUPER」シリーズの登場によって、「GeForce RTX 4070 Ti」と「GeForce RTX 4080」の2製品が終息。現在は、7製品のラインナップとなっています。
2019年に「GeForce RTX 20 SUPER」シリーズで採用された型番末尾の「SUPER」は、「GeForce GTX 16」シリーズでも採用されましたが、「GeForce RTX 30」シリーズでは未採用であり、4年以上の月日を経ての再登場。これまでは「無印」「SUPER」「Ti」といった性能順でのネーミングとなっていましたが、今回「GeForce RTX 4070 Ti SUPER」といったややイレギュラーな製品もラインナップされています。
「GeForce RTX 40」シリーズのラインナップ
1-2.「GeForce RTX 40 SUPER」シリーズの特徴
今回登場した「GeForce RTX 40 SUPER」シリーズと既存のラインナップを比較すると、従来と同じAda Lovelaceアーキテクチャを採用しており、基本的なコア設計に変更はありません。製造プロセスも同じですが、クロック周波数やコア数を増強することでパフォーマンスアップが図られています。ただし、「GeForce RTX 4070 Ti SUPER」に関しては、コア自体が変更されているため、メモリインタフェース幅や搭載メモリ容量などが大きく変わっている点に注目です。
「GeForce RTX 40 SUPER」シリーズは、スペック面で従来製品を上回っていますが、消費電力の向上は抑えられ、「GeForce RTX 4070 SUPER」のみTGP(Total Graphics Power)が20W増加していますが、そのほかのラインナップは従来と同じ設定となっています。
さらに注目したいのは、性能面で向上しているのにも関わらず、価格設定が抑えられている点。「GeForce RTX 4070 SUPER」は「GeForce RTX 4070」と同じ599ドル、「GeForce RTX 4070 Ti SUPER」は「GeForce RTX 4070 Ti」と同じ799ドルと据え置きであり、「GeForce RTX 4080 SUPER」に関しては、「GeForce RTX 4080」の1,199ドルを200ドル下回る999ドルとなっており、非常にお買い得感が増しているのも大きな特徴と言えます。
2.「GeForce RTX 40 SUPER」シリーズの3製品
2-1.GeForce RTX 4080 SUPER
「GeForce RTX 4080 SUPER」は、「GeForce RTX 4080」と同じAda Lovelaceアーキテクチャの「AD103」コアを採用。現在のGeForceはSM(Streaming Multiprocessor)を基本単位としてコアが構成されていますが、「4080 SUPER」のSMは、「4080」の76基に対して80基が有効化されており、CUDAコアが10,240基、RTコアが80基、Tensorコアが320基と、それぞれ「4080」より増加しているのが特徴となります。
それにあわせて、ベースクロックが2.21GHzから2.29GHz、ブーストクロックが2.51GHzから2.55GHzへと向上していますが、256ビットのメモリインタフェース幅や16GB GDDR6Xといった標準メモリ構成は従来どおりとなっています。
このように、「GeForce RTX 4080 SUPER」は「GeForce RTX 4080」のいわばパワーアップ版といった位置付けであり、「GeForce RTX 4080 SUPER」の登場にあわせて、「GeForce RTX 4080」は終息となります。ここで注目したいのは、NVIDIAの想定価格が、「4080」の1,199ドルから999ドルに引き下げられている点で、ハイエンドの「GeForce RTX 4090」の導入は難しいが、できるだけ性能の高いビデオカードを導入したいという方におすすめのラインナップとなっています。
なお、NVIDIAの資料によると、「GeForce RTX 4080 SUPER」のTGP(Total Graphics Power)は、「GeForce RTX 4080」と同じ320Wですが、ゲームプレイ時の平均消費電力は251Wから246Wへとやや少なくなっている点も注目です。
【GeForce RTX 4080 SUPER と 4080 比較】
2-2.GeForce RTX 4070 Ti SUPER
先にも述べた通り、「GeForce RTX 40 SUPER」シリーズにおいて、大きく仕様が変わっているのが「GeForce RTX 4070 Ti SUPER」です。「GeForce RTX 4070 Ti」と同じAda Lovelaceアーキテクチャを採用していますが、「4070 Ti」が「AD104」コアであるのに対し、「GeForce RTX 4080」シリーズと同じ「AD103」コアを採用しているのが大きな特徴となります。
「AD104」コアから「AD103」コアに変更され、SMも60基から66基となり、CUDAコアが8,448基、RTコアが66基、Tensorコアが264基へとそれぞれ増強されているだけでなく、メモリインタフェース幅が192ビットから256ビットに拡張され、標準メモリ構成も12GB GDDR6Xから16GB GDDR6Xへと増強。スペック面からは、「GeForce RTX 4070 Ti」のパワーアップ版であると同時に、「GeForce RTX 4080」の廉価版という捉え方もできます。
「GeForce RTX 4070 Ti SUPER」の登場にともない、「GeForce RTX 4070 Ti」は終息。「RTX 40」シリーズのラインナップにおいてはミドルレンジの最上位版という位置付けはこれまで通りですが、メモリ周りのスペックが影響しやすいゲームやソフトウェアにおいては、これまで以上のパフォーマンスが期待できそうです。
【GeForce RTX 4070 Ti SUPER と 4070 Ti 比較】
2-3.GeForce RTX 4070 SUPER
「GeForce RTX 4070 SUPER」は、「GeForce RTX 4070」と同じAda Lovelaceアーキテクチャの「AD104」コアを採用。SMが46基から56基に増強されており、それにともなって、CUDAコアが7,168基、RTコアが56基、Tensorコアが224基と、「GeForce RTX 4070 Ti」に迫る数値となっています。
メモリ周りについては「GeForce RTX 4070」と同様で、メモリインタフェース幅は192ビット、標準メモリ構成は12GB GDDR6Xですが、L2キャッシュが36MBから48MBへと増強されるなどの変更も行われています。
「GeForce RTX 4070」は、「GeForce RTX 4080」や「GeForce 4070 Ti」と異なり、「GeForce RTX 4070 SUPER」登場以降も引き続き販売されます。想定価格は同じですが、市場価格では無印の「4070」のほうが低価格で購入できるので、予算にあわせた見極めが重要となります。
【GeForce RTX 4070 SUPER と 4070 比較】
3.「GeForce RTX 40 SUPER」シリーズのおすすめユーザー
3-1.PCゲーマー
「GeForce RTX 40 SUPER」シリーズのポイントは、パフォーマンスが向上しつつも価格が抑えられているところにあります。PCゲームユーザーにとってビデオカード選びは非常に難しい選択です。もちろん最上位の「GeForce RTX 4090」が購入できる人は問題ありませんが、現在でもおよそ30万円を超えるビデオカードだけに、なかなか手が出しづらい人も多いと思います。
自分の予算と性能を天秤にかける際、その選択肢は多いに越したことはありません。「GeForce RTX 40 SUPER」シリーズの登場によって、2製品は終息となりますが、これまで6種類だった「GeForce RTX 40」シリーズが7種類に増加。特に、ミドルレンジの「GeForce RTX 4070」以上のラインナップが増えたことにより、PCゲーマーにとっては、より選択の幅が広がったのではないでしょうか。
NVIDIA独自の超解像技術「DLSS 3.5」も登場し、より高画質でゲームを楽しめる環境が整いつつあります。これからゲーミングPCを購入する方は、「GeForce RTX 40 SUPER」シリーズも含めた選択肢から、自分に最適なビデオカードをチョイスしましょう。
3-2.画像や動画編集を行うクリエイター
「GeForce RTX 40 SUPER」シリーズは、従来モデルよりもSMが多く有効化されているため、シェーダー処理を行うCUDAコアの数も、それにともなって増加しています。それゆえ、画像や動画編集を行う人にとっても、「GeForce RTX 40 SUPER」シリーズの登場は歓迎すべきところとなります。
ビデオカードとしての出力性能に加え、「CUDA」による並列処理能力の向上。さらに、従来の「GeForce RTX 40」シリーズと同様、ハードウェアエンコーダー「NVEnc」も搭載していますので、高速な処理も期待できます。
3-3.AI処理やデータ解析にも
CUDAコアの増加により、並列処理性能が向上することは、クリエイティブな作業だけでなく、大量データの処理にも最適です。さらに「GeForce RTX 40 SUPER」シリーズでは、AI処理をサポートするTensorコアの数も多くなっている点も見逃せません。
Tensorコアの処理性能は、「GeForce RTX 4060」が242 AI TOPSであるのに対し、「GeForce RTX 4070 SUPER」は568 AI TOPS、「GeForce RTX 4070 Ti SUPER」は706 AI TOPS、「GeForce RTX 4080 SUPER」は836 AI TOPSに達します。
また、先に述べた超解像技術「DLSS 3.5」は、AIによる高品質な追加フレームを生成するもので、「GeForce RTX 40」シリーズのGPUに搭載されている第4世代Tensorコアとオプティカルフローアクセラレータが実現するものであり、AI技術を活かすGPUとしてさらに注目が集まっています。
「GeForce RTX 40」シリーズの処理性能
4.GeForce RTX 40 SUPERシリーズ搭載のおすすめPC
4-1.G-Master Velox II Intel Edition
G-Master Velox II Intel Edition 製品ページ
BTOメーカー・サイコムのゲーミングPCにおいてエントリー向けに位置付けられる「G-Master Velox II」シリーズにおいて、Intel Core i5-14400FとIntel B660チップセット搭載マザーボードを標準搭載するモデルが「G-Master Velox II Intel Edition」です。
標準構成ではGeForce RTX 4060搭載ビデオカードを搭載する本製品ですが、「GeForce RTX 40 SUPER」シリーズにカスタマイズ可能。
コストパーフォマンスを重視しつつ、ビデオカードの性能は高めたいという方におすすめとなっています。
4-2.G-Master Spear Z790/D5
「G-Master Spear」シリーズはサイコムのゲーミングPCにおけるスタンダードモデルで、自分好みの構成にカスタマイズできるのが魅力。
標準構成でもIntel Core i7-14700KにGeForce RTX 4060搭載ビデオカードという組み合わせになっていますが、カスタマイズによって「GeForce RTX 40 SUPER」シリーズを採用すれば、さらに高いパフォーマンスを追求することができます。
4-3.G-Master Hydro Z790 Extreme/D5
G-Master Hydro Z790 Extreme/D5 製品ページ
静音+高性能を追求するサイコムのフラグシップモデルで、CPUとGPUを水冷ユニットで冷却するデュアル水冷を採用することで、負荷の高いゲームでも安定してプレイすることができる1台となっています。標準構成でサイコムオリジナル水冷静音仕様のGeForce RTX 4080 SUPER搭載ビデオカードを採用。カスタマイズによってGeForce RTX 4070 Ti SUPER搭載ビデオカードに変更することもできます。最新ゲームの美麗なグラフィックを楽しみたい方はぜひ注目してください。
4-4.Lepton Motion Pro Z790/D5
Lepton Motion Pro Z790/D5 製品ページ
映像編集に特化したプロフェッショナル向けのラインナップとなる「Lepton Motion Pro Z790/D5」。
映像編集といえばCPUが重要ですが、最近ではGPUのパワーを活かすソフトウェアも多数登場しており、ビデオカードへのこだわりも大事になっています。
標準構成ではGeForce RTX 4060を搭載していますが、ハードウェアエンコーダー「NVEnc」を2基搭載したGeForce RTX 4070 Ti SUPER搭載ビデオカードなどにカスタマイズすれば、さらに快適な作業環境を整えることができます。
4-5.Lepton WS3500Z790-A/D5 Stream Box
Lepton WS3500Z790-A/D5 Stream Box 製品ページ
配信者向けにこだわった機能が満載の「Lepton WS3500Z790-A/D5 Stream Box」は、キャプチャカードを標準で搭載しており、高画質録画やライブ配信に最適な1台となっています。
Intel Core i7-14700Kに水冷ユニットを組み合わせることで安定した冷却性能が期待できるほか、豊富なUSBポートを搭載。
標準構成でGeForce RTX 4070 SUPER搭載ビデオカードを採用している点も注目ですが、サイコムオリジナル超静音空冷ビデオカード「Silent Master Graphics」の「GeForce RTX 40 SUPER」シリーズにカスタマイズすれば、さらなる静音環境も構築できます。
5.まとめ
「GeForce RTX 40」シリーズに新ラインナップとして追加された「GeForce RTX 40 SUPER」シリーズは、性能が向上しつつも、価格は抑えられたモデルとなっており、ゲーミングPCをはじめ、パソコン選びの幅が広がる新たな選択肢として大きな注目を集めています。
あくまでも従来モデルの強化版であり、新たな機能などが追加されているわけではありませんが、これまで6種類だった「GeForce RTX 40」シリーズが7種類になったことによって、より予算と目的に応じたチョイスができるようになったのです。
自作ユーザーはもちろん、BTOパソコンを購入する際などは、本記事を、最適なビデオカード選びの参考にしてみてください。
北海道の牧場で馬と戯れる日々を経て、パソコン雑誌やWEBニュース媒体の編集長を歴任する。Athlonに心奪われ、Xeonに絶対の忠誠を誓ったのも今や昔。現在は、編集業を中心に、原稿執筆からカメラマン、果てはアニメの宣伝プロデューサーまで、本業不明の生活を送る。ユーザーの心をがっつり掴む各種オウンドメディアを運営中。 プロフィールはこちら
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